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銀と灰色の世界にささやかな黄金の青春を

PBW「シルバーレイン」及び「サイキックハーツ」用のキャラブログです。そっち自体の知識がないと読んでも意味わからないですごめんなさい。ここに住んでいるのは、稲田・琴音(b47252)、アリス・ワイズマン(b57734)、シンディ・ワイズマン(b60411)、睦月・絵里(b80917)、睦月・恵理(d00531)になります。
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03.29.18:50

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  • 03/29/18:50

02.16.09:45

バトピン完成!


b57734_icon_2.jpg



先日、とうとう初めてのバトピンが完成しマシタ!
さすが鍵の絵師さん、素晴らしいとシカ言い様のナイ出来です!
なお、背後さんは嬉しさのあまり、つい即興でSSマデ書き殴ってしまったとか。
奈古さん、バトピンのお誘いへのお付き合い及びSSのチェック&掲載許可に感謝しマス!


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この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』の世界観を元に、
株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。 
イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権は鍵裕一郎に、
全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。

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b57734_btl2_1.jpg
















その社はかつて滅び、名も建物ももはや残っていないはずだった。
しかし、地にただ一つ残っていたその記憶が銀の雨にさらされ、社は現代に甦った。
社と共に甦りしは怨念と外
法、それらの求めるは穢れなき贄。
赤子を奪われし母の叫びを聞き、駆けつけたるは二人の少女。
かつて社が滅びし時、母のもとにとうとう赤子は還らなかった。
果たして、悲劇は繰り返されるのか……。

 

「火遁ッ!」

業火を纏い投げられた忍者刀は、弓を引き絞っていた地縛霊の胸を過たず貫いた。
そして、それと引き換えに武器を失ったアリスに甲冑の武士が刀を振り下ろし……轟音と共に鎧をひしゃげさせて吹き飛んだ。

「Thanks!」

振り向くこともなくアリスは言い、未だ水を掌に逆巻かせた奈古は澱みなく彼女と背中合わせに立った。
二人の間には乳母車があり、そこでは赤ん坊が火のついたように泣き続けている。
アリスも奈古も、武具は砕けマントもマフラーも破られ千切られ、既に満身創痍の有様だった。
だが、乳母車には傷一つとてない。その身を盾として、あらゆる余波や流れ弾から二人は赤ん坊を守りきっていた。

「アリス先輩……あとどれ位やれるっス?」

真っ二つに割られた狐の面から鋭い眼光を覗かせ、取り囲むゴーストを気迫で推し留めながら奈古が問うと、アリスは不敵に笑ってみせた。

「この程度の残りをお掃除スルには十分過ぎるダケありますね。HA、もうあとたったの半分デスよ?」

「奇遇っすね、ボクもその位の力は残ってるんすよ」

奈古は更に眼光を引き締めてゴースト達を威圧しながらも、内心で苦笑していた。首領格は軒並み倒したとは言え敵はあと30体程、そして残ったアビリティ回数はラスト2発。どう控えめに見ても絶望的と言える状況だ。アリスもまた、心は同じだった。彼女のアビリティ回数もラスト2発、満身創痍で余裕などどこにもあるはずがない。特殊空間の出口こそ何とか開けたが、そこに至る道は未だ敵に埋め尽くされている。

しかし内心とは裏腹に、アリスの顔は追い詰められるほどより不敵さを増し、奈古の頭はより清冽に澄んで最善手を導き出し続けていた。絶望の呼び声など聞こえない、何故ならすぐそこで赤ん坊が大声で泣いているのだから。助けを求めるその小さな泣き顔の前で、無数の敵ではなく自分たった一人に負けて諦めてみせる?そんな無様は御免被る!

「……この子、まだ生まれて三ヶ月も経ってナイんですよネ。子供がたったの三ヶ月も親に甘えられないナンテ、あっちゃいけない事に決まッテます」

「早く終わらせて、お母さんに届けてあげなくっちゃっすね」

どちらも声は優しく、対して面は鬼神のごとき気迫に満ち……ふと、乳母車からの泣き声が止まった。

「……いい子っすね。あとちょっとだって分かってくれたみたいっス」

「なら、お姉さんとして期待に応えないとイケませんね……奈古さん、あそこの集団の中央で盛大に水を弾けサセテ下さい。ちょっとした博打を仕掛けて見マス」

奈古はその意図は問わず即座に駆け出し、アリスは右腕を天へと掲げる。振り下ろされる腕を、武器をかいくぐり、強く握り締めた拳から水の尾を引きながら奈古が敵の只中へ飛び込んだ。群れの中に切り込まれ、同士討ちの危険に足並みの乱れたゴースト達の懐に彼女は影のように音なく滑り込み、すとん、と次々掌を押し当てて行く。数瞬の後、超高圧で圧縮され、掌で押し込まれた水の塊が、彼女を囲んでいた円陣から一斉に弾けた。

その水が跳ねるより早く、彼女は更に奥に切り進む。

そして、

「Lightning Bolt!」

巻物から生き物のように呪文が立ち上り、怒れる天の轟きと共に稲妻がアリスの腕へと落ちた。それは圧縮されて電撃の奔流となり、奈古の駆け抜けた隙間目掛けて撃ち込まれた。未だ逆巻く水が雷を受け、一気に目映く弾けた。悲鳴すら上げられず、ゴースト達が次々消し飛んで行く。その空隙と動揺を逃さず、アリスもまた赤ん坊を抱えて敵陣へと飛び込んだ。

その先で、奈古は既に次の群れへと水を撃ち込んでいる。視線を交わす必要すらない以心伝心、再び天が咆哮した。

「さあ、こいつに耐えられるものなら……」

「耐えてみなサイ!」

一撃目より更に激しい、龍神の激怒が如き水雷の嵐が炸裂し、再び血路が切り開かれた。その先に見えるこの特殊空間の出口へと、二人はもはや脇目も振らず、慌てて追いすがる敵すら見ずに駆け抜ける。アリスが攻撃を受ければ先を行く奈古へと赤ん坊が投げ渡され、その奈古へと攻撃が集中すれば、雄叫びと共に追い縋ったアリスへと再び赤ん坊が託される。たった二人に、未だ残る十以上の攻撃が一斉に集中しているのにその足すら止められない。恐るべきは、如何なる絶望の中にあろうとも務めを捨てぬ忍びの心よ。

あと少しの所で、飛来した刃が二人の足を切り裂いてよろめかせるが……言葉を交わすことさえ必要とせずに互いに倒れあって肩をぶつけ合い、二人三脚の如くに忍達は駆け続けた。互いの手の先に未来を掲げ、体をその盾にして未だ傷の一つさえつけることなく。怨霊達が無念の叫びを上げた、もはや阻止は叶わぬと悟って。

そして、門は破られる。生者の世界の風と光が赤ん坊と二人の少女を包み込み、今まさに駆けつけて来た仲間達の声がその耳に届いた。忍務は、完全なる成功だった……。


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