02.02.12:29 [PR] |
05.26.12:34 ソフト大会翌日 |
上新粉と白玉粉を混ぜ、水でこねて三つに分ける。更に、内二つに蓬と紅芋をそれぞれ混ぜてひたすらよくこね、三色団子のもとの出来上がりだ。
「さあ、万葉先輩。ご一緒に……これを丸めてお皿に置いて行って下さい。後で三方に載せますから」
発端はその前日、万葉の妹双葉のソフトボールでのホームランの話が出たことだった。祝いに赤飯でも炊いてやろうかと言う冗談に琴音が突然強く反応し、強い願いの後に、自らの主である万葉にお祝いに何か作る手伝いを承知させたのだ。ちなみに、三色団子になったのはただの思いつきらしい。
双葉はいつもの通り「別にいらない」と言うかも知れない。でも、姉に何かを贈られて喜ばない妹ではないと琴音は信じている。……正直、あの表情を崩してみたいのだ。その時どんな表情を浮かべるか、と考えると、それ以外の感情のほかに純粋な好奇心も湧き上がって来る。たったそれだけのために姉妹の間に顔を突っ込むのだから……。
(私は、少しばかり分を越えているのかも知れない)
そうは思いながらもしょせん人間であり、まして子供である。感情を律しきるには到底未熟であった。巫女とは、両者を知り、両者と感情を共有しつつも自らの自由な意思を持つものでなければならないはずなのだが。
(……ごめんなさい、主様。私は、お二方が私の場所に近くあってほしいのかも知れません。人がいつも神にそうして来たように……)
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