02.02.12:16 [PR] |
05.26.11:54 あるちょっとしたお出かけの前日 |
Hi,とうとうBUリクの☆を出してもらいましたCyndiです。さて、今日は琴音の外出の隙に、ちょっとした記録映像を誰かさんの家に郵送しておこうカナって思うの。昨日琴音がうきうきお弁当の支度をしててネ、せっかくだからちょっとカメラを回して見たわ♪お弁当に心当たりのある誰かサン、色々と覚悟した方がイイわよ?
……ふふ、全部公開って言うノモ粋がないけどね……これは、田舎のご両親にも送ってみようカと思うから特別。真面目過ぎる子だもの、色々心配なコトはあるだろうから……ね。
「黄昏舞うはあかき蝶 ゆらゆらひかれ ゆらゆらふるえ おてんと様と眠りについて 光とともに また参れ……♪」
琴音はとんとんと包丁を動かし、くつくつ煮える鍋の音に耳を澄ませる。色々な料理を教えてくれた、大好きな祖母の膝でよく聞いた歌を口ずさみながら。
お祖母様にだけは任せていられないと、母もよく台所に誘ってくれた。下ごしらえに手抜きをしたらどんなにいい材料を使っても台無し、そう教えてくれたのは彼女だった。だから、今さばかれたばかりの鯖には塩と砂糖がきちんとすり込まれ、余計な水分と臭みを外に出しつつ味噌で煮られるのを待っている。
「あかき蝶は夜やすむ 外出はするな 静かにすごせ そうすりゃ向こうも ゆっくり夢ン中 遊んでくれる……♪」
そして、ついに取りかかる、明日お弁当を食べてもらいたい相手の大好物「玉子焼き」。これは、思い切って二つ焼いてみる。玉子の食べ過ぎは良くない、とは言われるがまあたった1日のことであるのだから。
まずは、いかにも普通の玉子焼き。具はちりめんじゃこと紫蘇で塩味に仕立ててみる。紫蘇の繊維が玉子のとろみを妨げないよう、紫蘇はとにかく細かくみじん切り。繊維で食感が変わるのもいいけれど、何せ今日は他にも食感のあるおかずが山ほどある。
次は、山芋をいくらかすり混ぜた、ケーキのようにふんわりで甘い玉子焼き。彼は甘いものが大好きだから。
どちらも綺麗に焼くのは難しい。でも、そちらばかりではなく他のおかずの火加減にもしっかり気を配らなくてはならない。それが、台所に立つものの義務。
玉子を引っくり返した直後、鍋音の変化に気づいて手がぱっと動き、火を加減する。いい温度の油の中でぱちぱち音を立てているのはもう一つの彼の好物、鶏のから揚げ。いい色に揚がっていて、思わず笑みがこぼれる。
「あ、そろそろきんぴら……うん、これくらいでいいかしら」
もちろん蛋白質ばかりではいけない。煮物に焼き物、蒸し物まで、野菜もたくさん料理の順番を待っている。時にはしっかり芯まで火と味を通し、時には綺麗に色を残して。
今回はタイミングよくわらびが送られて来たので、昨日の内に木灰と熱湯で灰汁を抜き、今はもう水にさらしてある。この目を奪わんばかりの(そう、これは本当に市販のものからは想像もつかないような色なのだ)新緑をお弁当の隅に飾れば、彼はきっととても喜んでくれるだろう。
包丁もお玉も箸も止まらない。ちょっと不思議な響きの歌も止まらない。絶好調のその夜が過ぎて、翌日彼を待ちながら琴音ははっと気づくのだ。
……二人分にお結び十個と大重箱三段も作って、果たして食べきれるのだろうか……と。
PR
もちろん
2009年05月27日水
残すわけが、ありませんよ。
ふむ・・・琴音はきっと、いい母親になりますね?
Re:あるちょっとしたお出かけの前日
2009年05月28日木
…つまりそこまで考えておられると。
…………(ほわんとした表情でこっそりとボイスレコーダーのスイッチを切る)
Re:あるちょっとしたお出かけの前日
2009年06月03日水
……(恥ずかしさが再燃して燃え尽きている)
- トラックバックURLはこちら