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02.09.06:44 [PR] |
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02.25.21:10 誰かさん達を祝って♪ |
この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』の世界観を元に、
株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権はソガに、
全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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今までこのICだけご紹介していなかった事に気づきまして。
……ええ、それだけですよ?今、私がこんな気分だからと言うことではありませんよ?
うふふふ……くすくすくす♪
こほん。さて、それでは、本日はクリュ姉様の監修を頂きまして書き上げましたSSの発表です。ええ、本当におめでとうございます♪
「クリュ先輩ー」
琴音はいつものように呼び鈴を鳴らした。心なしか、表情がいつもより明るいようだった。
「あ、琴音?ちょっと待ってね、今行くわ」
呼び鈴から聞こえて来たのは、やっぱりいつも通りのクリュの声。琴音は、何かうきうきしながら家の前で彼女が出て来るのを待った。ほどなく、父親に伴われてクリュが顔を出す。
「おはようございます春さん、先輩」
「ああ、おはよう」
「おはよう、琴音」
これまた、いつものように穏やかで優しい笑顔だった。その笑顔が並ぶたびに、この二人はやはり親子なのだなあ、と琴音は実感していた。
春の見送りを受けて、完全にいつもの通りに学校へ足を踏み出した。いつでも素敵で大切な朝だから、能力者として戦うならば鋭いクリュも流石に油断していた。琴音に毎日付き合っている彼女だから、気づけたはずなのだ……即ち。
なんか角と尻尾が覗いてたことに。
「ねえ、クリュ姉様?」
まだ、実の父親の前でこう呼ぶのはさすがに躊躇いがあった。
「うん?」
呼び方の変化に、クリュの顔がふわりと緩む。そこに出来た隙を琴音は逃さない。
「ご交際おめでとうございます」
「っ?!」
春の聴覚に届かない、そして視界からは外れない絶妙の距離を見計らっての不意の一撃。クリュは思い切りたたらを踏み、予期していた琴音がすかさずひょいとそれを支える。
「うふふ、お気をつけて下さいね?」
「ど、どうしてそれを……」
「くすくす……若輩の私にだって、目や耳くらいはついていると言うことです」
言いながらも、大丈夫ですよ、とばかりに後ろの春に手を振ってみせる琴音。普段の彼女をよくよく知るものなら、間違いなくこう言っただろう。
「ああ、また生えてる」
琴音は家ではとても厳しく躾けられてきた。もちろんその事に本人は不満を抱いていないしそれどころか感謝しているのだが、その反動で、幼少期に発散され損ねた子供らしい悪戯心が気兼ねなく甘えられそうな相手に時々こうやって顔を出してしまうのである。
もちろん角と尻尾は「小悪魔みたいで」「見えるような気がする」オーラがあるだけで、実際に生えているわけではない。そのはずだ。本物じゃないんだってば。
「真っ先に教えて下さいませんでしたね?」
「あ、え、えっと……その、付き合い始めたのは最近だったし」
「でしたら、今日私が言い出すより先に教えて下さらなければ」
すぱん、と鋭い一撃。絶妙のタイミングで呼吸が断ち切られた。たじろぐクリュに、琴音はころっと表情を変えて穏やかな笑顔を向けた。
「ふふ、冗談です。乙女心ですもの、すぐに言いふらせるものでもありませんよ。それは己が身で知っております。……本当に、おめでとうございます」
「……琴音」
やっぱり一瞬の隙が命取り。クリュが表情を緩めたその瞬間……。
「お祝いしたいですから、今度お二人ご一緒の時にきちんとお話させて下さいね?」
ずどん。最高のタイミングでとどめの一撃が撃ち放たれ、是非も聞かずに琴音はぱたぱたと駆け出した。
「ふふ、楽しみにしてますよ♪」
その後姿には、やっぱり尻尾が見えるような気がしたとかしないとか。
もしかしたら触れたかも知れない、やってみたら。
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