02.02.14:46 [PR] |
01.21.09:56 無題 |
今日は、完成させたきり全然アップロードしないでいたSSを投下するみたいですね。ようやく少し稼動を始めたようです。
今になってもまだ落ち着かない。自分の一部が欠け落ちてしまっているのがはっきり判る。
胸の奥がすうすうする。
「お祖母様……」
琴音は胸にそっと手を当てた。
あの儀式阻止依頼において彼女の魂を繋ぎ止め、引き換えに死んで行った白燐蟲。
それこそは琴音の体内の蟲全ての親であり、祖母から受け継いだものだった。
そのいた場所は今は別の蟲に埋められているけれど、まるでまだ空洞があるように感じられた。
「……ありがとうございました」
でも、祖母が大切だったからこそ空洞でありながらそこは温かい。
あの時からずっと見ていてくれて、傍にいて未熟な自分を守ってくれていた……それが分かるからだ。
失った悲しみが大きいほど、失う前のよき日々もまた色鮮やかに思い出せる。
きっと、この先もきっとどんな辛いことにも耐えて行ける。琴音は今ではそう知っていた。
全てを放り出して、祖母から受けたこの愛情を自ら泥の下に封じ込めてしまう事を考えれば、
今もなお夢を騒がすあの殺意の記憶さえもゆっくりと受け止め、少しずつ溶かして自らの心に受け止める事が出来始めていた。
「頂いたこの命、きっと無駄にはしません。お祖母様、どうか見守っていて下さい」
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