02.02.17:04 [PR] |
10.12.19:42 作ったきりアップしてなかったのをすっかり忘れ去ってなんか(以下略 |
誰かの声「……ぜんぜんあやしくないですよ?ところで、最初のほうのアップを見返すとだいぶ口調が変わったものです。ことにシンディ。キャラが固まってから見直すと色々と、うわ何をす」
シンディの目が、不意にぱちりと開いた。
どうやら知らぬ間にうたた寝をしていたようで、枕元には本が転がり、あたりはいつの間にかもう真っ暗になっていた。それも不思議はない、あんなに素敵な秋の日曜だったのだから。
上体を起こして見ると、窓から舞い込んだか、髪から桜がひとひら落ちた。その動きをぼうっと追った視線の先に、まだ瞼に残る昼の光を掻き消すような星空の瞬きが飛び込む。何ともいい夜、いい目覚めだ。口元がひとりでにほころび、こんな時のいつもの癖の通りに、星の歌が唇から細やかに紡ぎ出されてきた。
少し続けていると、そこにふともうひとつ渓流のように澄み切った歌声が合わさった。そしてシンディの表情が一層穏やかさを増した。それは彼女の愛する妹のものだから。
こんなことは時々あった。姉妹のどちらかが歌い始めると、もう一方もそれに声を合わせて合唱が始まるのだ。色々趣味は違う姉妹だけれど、歌うことがほんとうに好きなのは一緒で、二人いっしょに歌っているのは幸せだった。それがいつであろうと、どこであろうと。そんな気分の時なら、歌のふさわしくない場所などこの世にはないのだ。すぐに歌い始めるのがよい。
星空の欠片のような姉の声と夏草のような妹の声が合わさり、窓から覗く花々をさやさやと揺らしていく。声はアリスのほうが澄んでいるけれど、音に呼びかける才能はシンディの方がずっと上だった。だから、だんだんとシンディがアリスのメロディを導き、アリスの声は一層輝き出していく。まるで二人の日頃の生き方のように。
だんだん、全てのものから垣根が薄れて行った。いつの間にかそこは夢の中のようで、いつ歌が終わったのかさえはっきりとしないまま、二人はかすかに息をはずませてまだ残る風の震えにひたっていた。それは、二人が何より愛する時間のひとつだった……。
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